在宅ワークの経費処理はどのようなものが認められるか?
在宅ワークがある程度軌道に乗ると、確定申告をする義務が生じます。申告の際には、仕事上でかかった費用を経費として計上することができますが、自宅を拠点として仕事をする在宅ワークの場合はどのような経費があるのでしょうか。
備品や消耗品
まず真っ先に挙げられるのは、仕事で直接使用する備品や事務用品です。パソコンやプリンターなどの電気機器はもちろんのこと、パソコンのインクカートリッジやプリント用紙、文房具などはすべて経費に該当します。
ただし、パソコン本体や作業デスク、キャビネットなどの備品は使用年数や購入金額によっては「減価償却資産」として扱われ、「減価償却費」の計算が必要になります。
10万円未満のものですと減価償却資産にはなりませんので、パソコンなどを購入する際の金額の目安になるでしょう。
旅費交通費
このほか、在宅ワークに必要な経費としては旅費交通費があります。クライアントとの打ち合わせや取材時の移動手段に、電車やバス、新幹線などの乗り物を利用した際には、領収書があればすべて経費として認められます。
自家用車を使用する場合は、ガソリン代を燃料費として計上することが可能です。高速や駐車場を利用した金額も経費に含まれます。車にかかる経費は、ほかにも修理代、車検代、自動車税、自動車保険料、車の減価償却費などがありますので、確定申告の際にはもれなく検討することをおすすめします。
会議費や交際費
業務に直結する経費としては、会議費や交際費があります。クライアントとの打ち合わせ時の飲食代や、接待費、同業者との親睦目的の飲み会などの費用も会議費に分類されます。
ワリカンの場合でも経費で落とせますので、領収書には打ち合わせの名目や参加者、人数などをメモっておきます。
クライアントへの手土産代や、お中元・お歳暮などは交際費として計上できます。冠婚葬祭に関する出費も交際費にあたりますが、領収書などの証拠が残りませんので、何らかの資料とともに詳細を記録したものを保存しておくとよいです。
家事関連費
これまで紹介してきた経費は、使用目的が明確で比較的計上しやすいものです。しかし、在宅ワークの必要経費の中には計算が難しいものがあります。
例えば自宅を仕事場として使用している場合、住居費の一部も経費に認められるのですが、プライベートと業務用の兼用で利用しているものはその線引きが必要になってきます。これらの経費を家事関連費と呼びます。
家事関連費は、業務で使用している分を利用状況に応じて按分し、経費として計上しますが、この計算が一筋縄ではいきません。仕事場の場合は、家の総面積の中で仕事で使用している面積の割合を計算して経費を算出しますが、持ち家と賃貸でも違いますし、その人の労働時間によっても変わってきます。
水道光熱費やインターネットの通信費も同様に計算できますが、いずれにしてもこれらの家事関連費を経費として計上するなら、きちんとした算出方法を習得する必要性があります。けっこう骨が折れる作業ですが、金額としては大きいので、頑張る価値はあると思います。
その他の経費
在宅ワークの業務内容によっては、その業務ならではの経費が発生することもあります。例えば、自分のスキルを磨くために講習会に参加したり、資格試験を受験するなどといった場合です。
講習会や講演会への参加は、仕事に直結する内容のものであれば経費として認められるでしょう。しかし、資格試験の受験料や、その試験を受けるために学校に通った場合などは、判断基準が非常に微妙で難しいです。
このほか、判断が難しい経費として、業務で使用する目的で食料や日用品を購入するケースがあります。
例えば料理を撮影する仕事をしていたとして、その料理を作るための食材費は経費に入るのかどうかという疑問があります。
大概は撮影費用として経費で認められますが、かといって365日の食材費すべてが計上できるわけでもなく、仕事として使用した分はその仕事の記録が必要になります。
食材を買う時に、プライベートで使用する分と仕事用とでレシートを分けてもらうとわかりやすくなるでしょう。
事務負担の軽減ためには日々の積み重ねが大事
在宅ワークに限らず個人事業主の確定申告は毎年大変なものですが、こまめに事前準備しておくことによってその負担を大きく減らすことができます。
レシートや領収書はきちんと整理して保存し、使用用途などのメモ書きをしておきましょう。会計ソフトなどでその都度帳簿をつけておくのも有効な手段です。
日々の努力の積み重ねで確定申告時期の負担をぐっと減らすことができます。申告時期になって慌てないためにも、事前に確定申告や必要経費についての知識を身につけておくことが大切です。